核のゴミが、日本をゴミにする!





プルトニウムはなぜ「保存も地獄、利用も地獄」なのか?(その一)


上の図のように、原子力発電所からは運転すればするほど、使用済燃料いわゆる「核のゴミ」が生まれてくる。
その「核のゴミ」をどうするのか?

一つは、上図の「方法その二」のやりかたで、直接処分といわれる方法。
原発からでてきた使用済み燃料を、そのまま地下深くに埋めてしまうやりかたで、 アメリカなどはこの方法を取ろうとしている。

二つめは、上図の「方法その一」のやりかたで、再処理といわれる方法。
核反応の過程で発生した「プルトニウム」等を分離し、残りの廃液をガラスで固め それを地中深くに埋めてしまおうとする方法である。

日本は「再処理」の方の道をえらんで福島の事故までやってきたわけだが、
直接処分にしろ、再処理にしろ、最後は地中深くに埋めねばならない。もちろん
この最終処分地については、日本全国ことごとく断られて未だに決まっていない。
最終処分地も決まらぬまま、日本は「核のゴミ」を出し続けているわけだが、
もう一つ重大なことは「再処理」で取り出した「プルトニウム」の問題である。



プルトニウムはなぜ「保存も地獄、利用も地獄」なのか?(その二)


日本は上の図のように、原発のゴミをイギリスとフランスの再処理工場に送って、 再処理してもらってきた。そこで抽出したプルトニウムは、まだほとんどが英仏にそのまま残っていて 日本に送られる日を待っている。その量は約35トン。

そして今、日本は自前の再処理工場を青森県六ヶ所村に作り、稼動させようとしている。 稼動が始まれば、英仏で帰国を待つ分とあわせて膨大な量のプルトニウムが日本にたまってきてしまう。

しかしプルトニウムは、ご存知のように原子爆弾の原料なので、目的もないままに貯蔵することは 核拡散防止の面から禁じられている。
(たとえ禁じられてなくても、こんなぶっそうなもの、保有すべきではない!)

日本は、巨大な再処理工場を作り上げた以上、たまってしまった、そしてこれからどんどんたまってくる プルトニウムを、何が何でも使わない訳にはいかないのだ。
たとえそれが「もんじゅ」のように危険に満ち満ちたものであろうとも!


日本はまさしく「舌きりすずめの欲張りじいさん」!


「もんじゅ」は高速増殖炉といわれるタイプの原発である。
高速増殖炉の燃料は、普通の原発のようにウランではなく、プルトニウムである。
しかも、そのプルトニウムを高速増殖炉でもやすと、 もやした以上のプルトニウムがゴミの中から回収されるという夢の原子炉。まさに打出の小槌(こづち)。

資源のない日本としては、高速増殖炉が実用化されれば、エネルギー問題はそのまま解決なのだ!
石油もウランもこれからはもう輸入しないで大丈夫、エネルギーはそこからいくらでも湧いてくる高速増殖炉。

こんなうまい話に取り付かれて日本は「もんじゅ」を作り、その為のプルトニウムを抽出する「再処理工場」を作った。 しかし夢の原子炉「もんじゅ」は故障続きで一向に動かない。 でもその燃料のプルトニウムは、海外分、国内生産分を含めて、ますます膨れあがっていこうとしている。
今の日本はこのジレンマの真っ只中にある。




追記

2016年12月21日、もんじゅの廃炉が正式に決定した。
しかし、高速増殖炉の開発は断念しないらしい。
プルトニウムの量はますますふくれあがっていき、この核のゴミがいつの日か日本に恐ろしい災禍をもたらすか、
あるいは、プルトニウムを夢の燃料とする高速増殖炉が事故を起こし、日本を人の住めない島へと変えてしまうか、
核燃サイクルを止めない限り、このジレンマから抜け出すことは決してできはしない。










 シリーズ「ストップ ザ もんじゅ!」

   1 「もんじゅ」その危険 (ストップ ザ もんじゅ!)
   2 「もんじゅ」その場所 (どこよりも危険な日本)
   3 「もんじゅ」その背景 (核のゴミが日本をゴミにする!)

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