布施和生プロフィル

1970年生まれ37歳。3歳で自閉症と診断されるが、高槻市内の私立幼稚園、公立小・中学校に学び、卒業後は現在にいたるまで在宅。ギターは、幼児よりオモチャがわりにしていたが、友達がほとんど訪ねてこなくなった5年生ころより、母親の手ほどきで興味を示し、「習いたい」と自分から言い出した。
1982年(12歳)より古川律由氏、1994年より北口功氏に師事。1989年より作曲家松井望氏のもとでピアノを始め、最近では作曲も学んでいる。1999年より笹川久恵氏にヴォーカルの指導も受けている。さらに、2003年よりピアノを高瀬佳子氏に、フォークギターは的場智氏に師事。
1988年(17歳)より梅田のレストラン<自立平和>、1989年よりレストラン<三田屋>で演奏を初め、現在は高槻のレストラン<マサラ・バザール>で定期的に演奏。1996年25歳の記念にCDをリリース。NHKのラジオ・テレビに出演したのをきっかけに各種のコンサート活動を活発に行っている。
自閉症という障害と生まれながらのおだやかな性格がかもしだす音色は、聴くひとの心をなごませ、やさしい気分にひたれる、と好評をはくしている。 なお、この5年ほど以前から、これまでギター演奏の影に隠れていた感じのピアノ演奏が、作曲を始めたためもあり注目されるようになり、さらにはたいていはアンコール用で使っていた歌にも注目が集まり、2002年に刊行のCDは、歌と作曲を主とし、ギターとピアノの演奏が付随するという形になっている。

これまでの主な活動

1993年5月  「とっておきの芸術祭」(神戸)に出演。

1994年4月  NHKテレビ「明日の福祉」に出演。

     5月  「ひと味ちがう映画を見る会」(泉佐野市)に出演。

     8月  三重県伊賀上野市でコンサート。

1995年5月  「みんないっしょにコンサート PART1」に出演。

     12月  クリスマスコンサート(高槻)、シャンテと共演。

1996年5月  「みんないっしょにコンサート PART2」に出演。

     11月  CDリリース記念コンサート(高槻)。

     12月  「クリスマスよりくるまいすコンサート」(高槻)シャンテと共演。

1997年5月  台湾の「障害者芸術祭」に招待される。

         ギタリスト押尾コータロー氏が共演のため同行。

     7月  「みんないっしょにコンサート PART1」(岸和田)に出演。

     12月  佐野養護学校クリスマス会出演。

2000年3月  宮崎県串間市でコンサート、押尾コータロー氏共演。

     4月  NHKテレビ「きらっと生きる」に出演。

         音楽と日常的にかかわる姿が紹介され、話題を集めた。

2001年1月  「いのち・なかま・みらい PART1」を高槻市で開催。

         北口功氏、押尾コータロー氏共演。

     6月  岡山県「吉備の里ふるさと祭り」に出演、北口功氏共演。

     9月  読売新聞9月11日付「医療ルネッサンス」<自閉症とともに>

         の第一回で、現在の生活と活動が紹介された。

     9月  「いのち・なかま・みらい PART2」を高槻市で開催。

         北口功氏、押尾コータロー氏共演。

     10月  「とっておきの芸術祭」(仙台)に出演、押尾コータロー氏共演。

2002年1月  三重県津市「星の町の芸術祭」に出演。

     3月  兵庫県貝原町でコンサート。

     4月  毎日テレビ4月30日の「Voice」で、現在の生活と活動を紹介された。

     8月  大阪府養護教育研究会、50周年記念大会第八分科会で演奏会。

     12月  CD刊行記念コンサート「Word」開催。北口功氏共演。

2003年11月  「とっておきの芸術祭」(仙台)に出演、押尾コータロー氏共演。

2005年3月  「布施和生・北口功ギターデュオワークス」に出演。北口功氏共演。

     4月  コンサート「日本の心を歌う」に出演。

2006年1月  「ふれあい冬まつり」に出演。

2008年1月  「天使の音楽~自閉症者のギター~」(神戸)に出演。

         演奏会後に、第二部として母による講演会が行われた。

     2月  姫路にて「はりまローズコンサート」に出演。

     9月  大阪にて「バリアフリーチャリティコンサート」に出演。



和生と彼の音楽について  布施秋子(母)


37歳になる現在も「自閉症」という常人には不可解な世界にたたずまって生きているが、音楽を媒介として、いわゆる「普通」の世界にも入り込んではいる。時にはアツレキが生じるので、彼が異質な世界の住人であることを思い起こさせるが、彼なりに戸惑いながらも「普通の世界」になんとか入ろうとしているのを感じる。通常からすればツタナイということになるのだろうが、そういう「欠陥」も含めて彼はどうしても「彼の世界」から抜け出せないでいる点で、彼の音楽は独自だし、魅力に富んでいるともいえるだろう。そのある種の不思議な魅力を感じとってくれる人も結構いるので、彼の音楽は成り立っているのである。


return