これはゾウアザラシです。でも、かれは、

自分がゾウアザラシだかなんだか、ちっと

も知らないのです。ゾウアザラシだろうと

ブルターニュのカタツムリだろうと、かれ

には意味のないことです。かれは、そんな

ことはバカにしています。かれは、何者か

でありたいなどとは思っていないのです。

 かれは、おなかを下にして、すわってい

ます。それというのも、そんなふうにすれ

ば座りごこちがいいからです。だれにも、

好きなやりかたで、座る権利があります。

 かれは、とても満足しています。それと

いうのも、飼育係が、サカナを、生きたサ

カナを、くれるからです。       

 毎日、かれは、なんキロもなんキロもの

サカナを、食べます。それは、生きたサカ

ナたちには、迷惑なことです。それという